親知らずの抜歯について

 「親知らずが痛くなったけど抜くのは怖い」、「抜こうと思ったけど大学病院を紹介されて、そこまではしたくない」と思われている方は多いと思います。親知らずは最も奥にあるため、完全に生えにくく清掃もしにくい事から、周囲の炎症や虫歯でトラブルを起こしやすい永久歯です。トラブルは繰り返しやすいので、抜歯する事が望ましいケースが多いです。

抜歯については、埋まり方、根の形態、周囲組織との関係などで難易度が変わってきます。横を向いて埋まっている親知らずは多く遭遇しますが、難易度は下図のように分かれます。

ClassⅠからⅢになるにつれ、またPosition AからCになるにつれて難易度は高くなります。当然難易度が高いと、抜歯に時間がかかることがあります。また親知らずの抜歯にはリスクを伴うため、当院では症例によってどの合併症がどれくらい起きやすいかをしっかりと説明した上で処置を行うようにしています。状態によっては抜歯をお勧めしないこともあります。

<合併症について>

・腫れ、痛み:しっかり埋まっているほど起こりやすいです。おおよそ1週間程度で落ち着くことが多いです。腫れ止めをご希望の方はご相談ください。

・出血:処置後2、3日は滲むことがあります。なるべく骨削除を少なくして出血しにくい処置を心がけています。内服薬によっては、予め出血防止処置の追加や止血プレートの作製を行います。

・神経障害(感覚異常):唇、顎先、歯肉、舌などの感覚が鈍くなったり、味が感じにくくなるもので、最も気をつけないといけない合併症です。回復まで時間がかかり(数ヶ月〜1年程度)、症状が残ることがあります。私は九州大学病院勤務時代に福岡市歯科医師会の神経麻痺事案研究会に所属しており、多くの症例を検証してきました。リスク軽減のためCT撮影を提案することがあります。

<料金について>(3割負担の場合)

・抜歯:抜き方、埋まり方によって異なり、800〜4,000円程度です。

・X線検査:パノラマX線1,300円程度、CT 3,500円程度です。

・上記に初・再診料、投薬料、指導・管理料などが数百円ずつかかります。

 高い難易度の抜歯でも対応できるように準備しておりますが、以下の場合は大学病院等をご紹介します。

  • 全身麻酔、静脈内鎮静が必要
  • 入院管理が必要
  • その他大学病院等での処置が適切と判断した場合

親知らずの治療でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。